物語の終わり──


鳴らない拍手。
それが僕、春日谷 遊佐の一番根強く、痛烈に刻まれた最後の記憶。
自業自得。
そう言われればそれまでかもしれない。

ピアノだ。

練習はもちろんしていた。
いや、それはもはや練習ともいわないのかもしれない。
生活の一部のようなものとなっていた。
父は世界でもかなり名の知れたピアニストの一人だ。
母も音大の講師として活躍している。
だから幼いときから、いや、生まれたときから僕はピアノを始めさせられた。
ピアノを弾くのがあたりまえ。