コツ、と音がしたから前を見た


あ……



「……カズくん…」



何て声をかけようか考えていたのに
目の当たりにしたら何も言えなかった



「…来てたんだ?」と千夏は少し笑った



無理して笑うな




「…もう帰れるのか?」

「うん」



「病院に行くか?」

「手当てしてもらったから」




「おばさんに連絡は…?」

「大丈夫」





二人で会場を後にした