「そういえば、中谷の歓迎会しないといけないな」
思い出したように海崎さんが言う。
ぎくっ。
その名前を聞くだけで、飛び上がりそうになる。
「もう、今さらいらないんじゃないですか?」
僅かな望みをかけてそう言うが、
「そう言うわけにもいかないだろ」
海崎さんは苦笑いしている。
どっちにしても、あたしは歓迎なんてしていない。
奴はあたしの全てを壊したから。
仕事だけじゃなく、あたしの身体まで。
「篠山、また店選んでおいてな」
「はいはい、分かりましたよ」
あたしは口を尖らせてそう答えていた。
仕方が無い。
幹事は下っ端の役割だから。
無難に決めて、無難に終わらせてやる!



