「やべ……寝てた」 そう言って、身体を起こす奏。 ボーッとした表情のまま、あたしの頭に手をかけくしゃっと撫でる。 どうして彼はこんなに余裕なのかな? 自問自答して、すぐに答えに辿り着いた。 慣れてるから。 はぁ…… 何してるんだろ、あたし。 いい歳になって、プレイボーイに引っかかってるんじゃないよ。 「帰る」 「あぁ……」 そのやり取りに、涙が出そうになった。