はっと気付いた時、あたしは中谷の部屋にいた。
あたしの前には冷えた缶ビール。
そして、コンビニで買ったつまみが置いてある。
よく考えたら夕食も食べていない。
今さらだけど、お腹が空いてきた。
テーブルの向かいには中谷がいて。
その黒縁眼鏡を外し、煙草を吸いながらテレビを見ていた。
その異様な光景。
もしかして、眼鏡は伊達眼鏡!?
そんなあたしの視線に気付き、こっちを見る中谷。
眼鏡を外した中谷は、本当にかっこよくて。
不覚にも頭がくらくらして、顔が熱くなる。
「何だよ。
何か付いてんのか?」
中谷はそう言い放って、ほくそ笑んだ。
くそ……
また、ふざけてマネをしやがって。
中谷は賢い。
会社では、絶対この腐った本性を見せない。
だが……
その眼鏡を取った瞬間に解放される。
地味で真面目な石頭が、最高にウザいチャラ男へと変身する。



