ただ、ひたすら鼓動が速い。
身体がぼうっと熱い。
早く……早く立ち上がって逃げなきゃ!
なのに、身体をぎゅっと抱きしめられた。
もう目の前が真っ白で。
ただドキドキして恥ずかしくて。
でも……
何だか心地よい。
温かくて優しくて。
ずっとこうしていたいなんて思ってしまう。
あたし、こんなにドMだった?
中谷なんて、大嫌いだよ。
「あれ?逃げないんですか?」
中谷は静かにそう言った。
「逃げないなら、いただきますよ?」
耳に中谷の息がふっとかかる。
身体が酷く甘くぞくっとして。
身体を震わせるあたし。
逃げよう、逃げようとしても、麻痺した身体は言うことを聞いてくれない。
大きく息を吸い込んだあたしに、
「声出したら、バレますよ?」
中谷は静かに言った。



