中谷の実力なら、シュミレーションなんて秒殺かと思った。
だけど、今回のものはなかなか難しいらしい。
電圧を変えただけでもエラーが鳴り、首を傾げるあたし。
中谷はあたしの隣でソフトの説明書を読んでいた。
「中谷君……それ、英語だよね」
思わず言ってしまう馬鹿なあたし。
中谷はあたしを見もせず答える。
「そうですが、何か?」
むっかぁ!!
英語出来るからって、さりげなく自慢するんじゃないよ!
本当に嫌な奴!
「今日中に終わらなかったら、明日サポートセンターに電話しますか?」
「あたし……英語出来ない……」
屈辱だ。
こんな愚かなあたしを見て、中谷は馬鹿にするように笑う。
「サポートセンターなら日本にもありますよ。
ま、僕は本社にかけても問題ないですが」
なんでこいつはあたしをこんなにイライラさせられるんだろう。
その才能だけでも仙人級だ。



