「篠山!」




不意に海崎さんに呼ばれ、慌てて中谷のデスクを外れる。

ちょうどいいタイミングに呼んでくれた海崎さんに、頭が下がる思いだった。




「何ですか?」




いつものように笑顔で海崎さんに近付くと、海崎さんも何だか機嫌が良さそうで。




「篠山、解析よく頑張ったじゃん」




満面の笑みでそう言われた。

その言葉ではっとした。

解析、本当にあたしが成功させたのかな?

あたし、何回やっても成功しなかったし、あの時は寝てしまったし……



まさか……

まさか中谷が?





あたしはこっそりと中谷を見た。

だが、中谷はあたしになんて興味はないようで。

相変わらずの真顔でパソコンを見ていた。




……中谷に限って、そんなはずないよね。