作業着は、ふわりといい香りがした。 不覚にも、その香りに酔ってしまう。 いけないと思い首を振り、デスクに座る中谷を見る。 黒髪に黒縁眼鏡。 相変わらず無愛想だ。 出来る男。 だけど、冷酷な男。 いらない人は斬り捨てるような非情な男。 そんな憎い男に向かって、初めて口を開いていた。