「篠山ー!優勝、おめでとう!」 海崎さんがあたしに駆け寄ってくる。 「ありがとうございます」 そう言いながらも、胸の中はモヤモヤしていた。 優勝なんて、今となってはどうでもいい。 ムカつくのは奏だ。 涼しい顔をして、あたしの楽しみを全部奪っていった。 「篠山、バスケ部ってのはダテじゃないな!」 「いえ……あたしの完敗です……」 笑顔で答えたが、泣きそうだった。