こんなあたしに助け船を出してくれたのが、意外にも海崎さんだったのだ。
「そうだよね。
篠山、中谷のこと嫌いだから」
「……はい」
愚かなあたしは肯定してしまう。
そんなあたしを、葉子は驚いて見た。
「最近の篠山、中谷嫌いオーラ出過ぎだよ。
あれじゃ、きっと中谷も気付いてるよ?」
気付いたらいい。
そして、疎遠になったらいい。
でも……
少しの間だけでも幸せだった。
奏の体温に触れて、あの優しい顔で見つめられて。
それがいまだに中毒となってあたしを苦しめる。
本当は好きだよ。
好きで好きで、好き。
だけど……
これ以上傷つかないためにも、卒業なんだ。
思いを振り払うように、首を振る。
そして立ち上がるあたし。
次は準決勝。
ここまできたら、絶対勝ってやる。
そして、奏にもぎゃふんと言わせてやる!



