一瞬の出来事だった。 ふわっといい香りがして。 風があたしの脇を駆け抜けて。 気付いたら、奴が豪快なダンクシュートを決めていた。 しーん…… 会場が静かになる。 あたしを見て騒いでいた人々は、目を丸くして奏を見ていた。 その人たちと同様、あたしもぽかーんと奏を見ていた。 不覚にもかっこいいと思ってしまった。 あんなにも簡単にダンクするなんて…… 「楽勝でしょ」 すれ違いざまに小声で言う奏。 あたしの闘争心に火がついた。