「すみませんでした」 意外なその言葉にはっとして、奏を見上げる。 すると、奏は何の感情もないような目であたしを見ていて。 それにイラついて、あたしは露骨に顔を歪めて彼を睨んでいた。 「再考します」 奏は一礼して去っていった。 え……!? どうしたの? 彼ならきっと、あたしを打ち負かすような知識も頭脳もあるはずなのに。 あたしはぽかーんと奏の背中を見ていた。