あたしは、いつものようにデスクに座っていた。

そして、いつも以上に仕事に熱中した。

あたしには仕事しかない。

そう思うと、仕事をせざるを得ない。

もう、奏に怯えない。

奴に負けないくらい一生懸命仕事をしようと思った。






「篠山、大丈夫?」




海崎さんは、そんなあたしを心配そうに見ていた。

だけど……

あたしはこの窮地でとうとう本当の能力を見出したらしい。

今までにないスピードで仕事をこなしていた。




パソコンで解析を行いながら、メーカーに電話をかける。

それでいて、上司から与えられた雑用もこなす。

気分は優れないのに、頭は冴え渡っていて。

今までは気付かない些細なことにも注意がいく。