「行きましょうか」 酙はあたしを見て、相変わらず穏やかに言う。 ライブなどで見る、冷酷で陰のある酙とは大違いだ。 「ありがとうございます」 あたしは声を振り絞って、酙に言っていた。 「二回もご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」 「いいですよ、そんなの」 酙は相変わらず笑顔で笑っている。 そんな酙の好意に甘えたくなる。 ファンとして、これからも仲良く出来たらいいなんて思った。 だけど…… 奏がいての酙。 あたしは、もうこれ以上、酙とも関われない。