分かっているけど……
何だかショックだよ。
ここのところほぼ毎日、あたしは奏の夕食作りをしている。
それに感謝の気持ちを表されたことなんてもちろんないし、手を出されることももうなかった。
あたしはセフレから、召使いになっているのかもしれない。
きっと、都合のいい女に間違いないのは確かだ。
あたしはこんなに好きなのに……
奏の気持ちが分からない。
馬鹿だな、あたし。
無駄に尽くす女。
こんな女だから、男は安心して浮気するのかもしれない。
「帰るよ、帰ればいいんでしょ」
どうせ、送ってもくれないんだから。
あたしはそう言ってぶっきらぼうに扉を開けた。
……はぁ、最悪だ。



