だけど……
そうそう上手くいかないのが現実。
「俺、バスケ部だけど?」
奏の家で、奴は衝撃の事実を吐いた。
固まるあたし。
引きつった顔で奏を見た。
奏は当然のように何食わぬ顔をして、ビールに口を付ける。
あたしはジュースを飲みながら、そんな奏を恨めしげに見た。
「奏……体育会系なの?
あたしてっきり……」
勉強だけのくそまじめかと思った。
……だなんて、言えるわけもない。
いや、会社での奏は、確かにくそまじめだ。
だけど、眼鏡を外した奏は、ただのチャラい兄ちゃん。
「大学でも、バスケサークルって言わなかった?
だから他学部の慎吾とも仲いーんだよ」
だるそうに言う奏。
あたしは地獄に落ちていた。
あたしの復讐劇……
終わった。



