「ねぇ。中谷君は、なんでそんな眼鏡かけてるの? 眼鏡かけないほうがかっこいいよ」 あたしは、いつものノリで思わず言っていた。 あたしの隣の席で、海崎さんがピクリとする。 まさかあたしがそんなことを言うとは思っていなかったのだろう。 あたしはずっと、奏に悩まされ奏を避けてきたのだから。 そして、会社版奏みたいな冗談一つない男に愚かなことを言ったあたしを、戦々恐々と見ていた。