奏はふんっと鼻で笑った。
いつものその自信に満ちた笑い。
人を小馬鹿にした笑いだ。
「だから、メシ作れ」
もちろんその言葉に抗うことなんて出来るはずもなく。
あたしはとぼとぼとキッチンへ行き、冷蔵庫を開いた。
ムカつく。
でも、仕方がない。
それに……
美味しいと言ってくれると嬉しい。
奏の笑顔が見たい。
嫌な奴だけど、あたしは確実に奏の餌食になっていた。
この日、奏があたしを抱くことはなかった。
ただご飯を食べ、来週分の食材を買いに行って、あたしを家まで送ってくれた。
セフレの目的。
それは、身体だけ。
今のあたしたちの関係は、身体だけではないのかな?
そうだったら嬉しい。
奏に近付けているなら、すごく嬉しい。



