最悪だ。

あたしがここから覗いていたの、奏にバレていたんだ。





後ろでジッポの音が聞こえた。

そして、煙草の香りがする。

あたしは奏に背を向けたまま突っ立っていた。




奏はあたしと話す気もないらしく、黙って煙草をふかしている。

だけど、全身を見られているような気がして。

何だか身体が熱くて。




ドキドキドキドキ……




鼓動がやたら速くなった。






この鼓動、聞こえないでいてほしい。

あたしの気持ちに気付かないでいてほしい。



あたしは……

あたしは、奏が好き。

認めたくなかったけど、もう認めるしかない。