「ねぇ、中谷さん」




一人が奏の腕にぎゅっと抱きつく。

その積極性にびっくりすると同時に、胸の中がぐちゃぐちゃに掻き回される。





嫌だ。

奏に近付かないで。

奏は……

奏はあたしのものだから!






「中谷さん。

今日の夜、飲みに行かないですか?」




そう言って上目遣いで見上げる女性。




嫌だ。

行かないで!





だけど、そんなことは言えない。

きっと、奏は行ってしまう。

こんなに可愛い女性たちだから。

あたしを抱くよりも、可愛くて若い女性を抱いたほうが満足だよね?