窓際の禁煙席。

シャレたグラスに入ったお冷。

メニューを手にして、改まって向かい合うと、何だか急に緊張する。


昨日の酔っ払いが嘘のように、由紀子さんは落ち着いていて、顔もよく見るとすっきりとした美人だった。


「あの…コーヒーでいいですか?」

「あ、私、奢ります!」

「え、でも」

「本当に迷惑かけちゃったし……ねっ、奢らせて」


お願いと念を押されて、俺は「じゃあ…」と頭を小さく下げた。



俺は、井伏と顔見知りだった事

茶封筒を頼まれた事

酔っ払った由紀子さんを仕方なく部屋へ連れてきた事


順番になるべく丁寧に話していった。


頬に両手を添えていた由紀子さん。

話を続けていくう内に、顔がムンクの叫びみたいに、どんどん険しくなっていった。


俺がひとしきり話し終えると、前髪をかきわけ、眉間をおさえた。


そして、すぐにテーブルに三つ指を立てた。