「ほらよ」 「ありがとー!」 俺はやっぱり憎めない二人に、わざとらしく笑いかけた。 グラスの表面から、すぐに水滴がたれた。 俺たちはしばらくの間、黙々と作業に打ち込んだ。 シャーペンを走らせる音が響く。 途中、望乃と手が触れて目が合い、すぐにパッと逸らされた。 やっぱちょっと、ぎこちない。 途中だった映画。 目の前を歩いたワンピース。 潤んだ瞳。 この間の映画を思い出して、俺は少しの間、文章が頭に入っていかなかった。