「はー」
クッションを枕に、ソファーに横になる。
「今日何かあったの?」
「んー、うん、今日、同窓会だったから」
「そうなんだ。高校?」
「んーん。中学」
「そう。楽しかった?」
「んー、まぁまぁ」
「何かけっこう飲んでるなぁ?」
由紀子さんは、少し甘え口調になっている俺を笑った。
由紀子さんの部屋にいると落ち着く。
何ていうか、かっこつけて言えば、これが流行りのナチュラルテイストって奴なんだろう。
ピンクとかハートとか、そういう女が好きそうなインテリアはほぼ皆無だ。
俺はこの部屋に来ると、ものすごく眠くなる。
「あ。ていうかさ『俺』って言われただけで開けんなよ」
「何で?」
「危ないじゃん。変質者入ってきちゃうよ?俺とか」
「あははっ」
由紀子さんがキッチンの方へ行き、冷蔵庫に手を当てる。
「何か食べる?」
「んーん。もう食ったし」
由紀子さんは「そ」と言ってあくびした。
そんな時ふいに、テーブルに目がいった。
ねずみ色の立派な写真アルバム。
七五三とか入学式の時に、写真館で撮った大きい写真の奴に似ていた。
「何これ?」
俺がきょとんと手を伸ばそうとすると、
「あ、なんでもない」
とテーブルを片付けてしまった。
何だと思いつつも、特に詮索しなかった。
すると電話が鳴った。


