主が留守にしている間は、パーカーの胃も平和だった。エリザベスのことを心配しないでいいというのは、なんとありがたいことなのだろう。

 レディ・メアリがもう少ししょっちゅうエリザベスを招待してくれればいいとも思うけれど、エリザベスの方は応じないであろうということも彼は十分承知していた。

「誠実な商人に見えますが、得体の知れないものを抱えているように思います」

「……あなたにも、そう見える? 実は私も。彼にまかせると決めた時、少し不安ではあったのだけれど」

 アンドレアスは、エリザベスが雇った事務手続き専門の業者だった。

 エリザベスがラティーマ大陸から戻ってきた時、商売の一部を代行させるためにアンドレアス商会と契約を結んだのだ。

 それ自体は珍しい話ではない。エリザベスは事務手続きの専門家ではないし、そこに時間を費やすのならば人を雇った方が早い。