.





ジャンキー(3)







目で追ってしまう自分が、酷く滑稽で。









あの日から数日。
あたしは彼を呼び止めることはしなかった。


「みかこー何へこんでんの?」


「リサ」


あたしを覗き込むようにしてそう言ったのは、我が校の副会長様。
何気に生徒会長より強い彼女。


「あれでしょ、修一にセクハラされたとかでしょ。」


親身になって真剣な目で心配してくれるので、あたしは思わず笑う。


「違うよ、大丈夫。ありがと」


笑ってそれだけ言った。

誰かが彼を呼び捨てにするのは聞き慣れた。
別にそんなことでは焼いたり嫉妬したりしない。
そんなことに一々反応していたら、きっとあたしは灰になってる。


「ちょっと用事あるから先帰るね。
残りの仕事は明日やるよ。」


「うーい。ばいばーい」


リサに「ばいばい」と返して、生徒会室の扉を開ける。
最後に一回振り返ってから、扉を閉めた。



.