幸福の花 ~夏~

クマはつぶらな瞳で、私をじっと見つめていた。

そんなクマを見ていたら、ラベンダーの香りが無性に嗅ぎたくなった。

立ち上がり、クマを鼻に近づける。

昔よりだいぶ薄くなったラベンダーの香り。

いつかこの香りが消えてしまうと考えると、少し切ない。

でも、私の蓮への気持ちはあの頃とほとんど変わっていないように思える。

「よし!」

自分の頬を叩いて気合を入れる。

人と話すのは得意とは言えないけれど、ぜったいに明日、蓮に話しかけよう。