「それで、母さんが許してくれたんだ。森野さんのおかげだよ」 二人の間に風が吹き抜けた。 森野蒼の匂いが鼻を掠めた。 柔軟剤の香りだろうか。 「余計なことを言ってごめん」 彼女は少しだけうつむいた。 「私は他人なのに偉そうなこと、言ったけん。お母さんに謝ってて」