よく来ていたこの向日葵畑の近くには、倉庫がある。
ここで陽ちゃんとよくサボったなぁ…。
そんなことしてたって言ったら、勝吾は怒るかなぁ。
”そんなことしてねーで勉強しろバーカ!ちーび!”
って。
…って!そんなこと考えてる場合じゃない!
この倉庫は今は使われていないから、こんなところに来る人はいない。
私はゆっくりと扉をあけた。
ギィーっ…――
金属音が倉庫内に鳴り響いた。
コツン…コツン…
歩くたび足音が静かに響く。異常すぎるほどの静けさ。
「美架ぁ…?」
…
「美架ー!ドコ…?」
反応がない。ここにいないの…?
「…っ…ぅぅー…」
「美架っ?!」
「…っ!…なな子…?」
美架の声だ。
「美架…!」
「なな子ぉ…っ…」
美架はドラム缶の陰に小さくなって震えながら座っていた。
「…なな子ぉ!!」
「美架ー!」
「よかったぁ…本当に…無事でよかったよぉ…」
安心からか私の目から涙がこぼれた。