キミが笑えるように











美架が、少し悲しそうにこちらを向いた。




…嫌な予感がした。







「話…?」



「そう。…あのね


…今日の朝、陽一が女子と一緒に登校してきたの。それで…」




「それで?」





「キス…してた」



やっぱり、陽ちゃんのことだ。




「うん…それで?」




彼氏が浮気していることを聞いて、こんなにも冷静な彼女なんて


他にはいないだろうな。





「それで?じゃないよ!!陽一、浮気してるんだよ!?

なな子ゎそれでいいの!?」




美架は、怒ってる。


いいわけないじゃん。


でも…。




「知ってたよ。浮気してることなんか、とっくに」





美架は目を見開いて、驚いていた。


まぁそりゃそうだよね。普通、驚くよね。





「それ知ってて別れないの…?」



「うん」



「なんで?なな子は浮気されても許せるの?」




「私…陽ちゃんと約束したから」




「約束!?」



「なにがあっても傍にいるって」




「浮気されたんだからそんなの!関係ないよ――」




「――美架はさ!」



つい、大きな声を出してしまった。


…らしくない。



美架が、唇をかみしめた。




「何にも知らないのに、変なこと言わないで」




クラスのほとんどが、私たちを見ていた。




「だってさ、なな子最低じゃん。

彼氏の浮気知っといて、うんうんって冷静にうなずいてるとか、ホントあり得ない!!」






「…ってるよ」


そんなの、分かってる。



自分が最低なことなんて、自分が1番わかってるよ…!



「最低なことなんて、私が1番!よくわかってる!」




「そーやってイイ子ぶって。そんなことないよーごめんねーとでも言ってほしいわけ!?」




「美架…?」





なにそれ。



イイ子ぶって…?




「…あー、もおマジやってらんない!」




「え?」




「先帰るね」






そう言って美架は教室を出ていった。