「―なな子は今日部活だから行かないよ」
この声は…。
「陽ちゃん!?」
今の話聞いてたのかな…?
「なな子…部活やってんのか…?」
さっきの陽ちゃんの声、怒ってたよ…。
「あ、うん。マネージャーだけどね?」
勝吾は思い出したように言った。
「中学ん時の活躍、めっちゃ覚えてる!…頑張れよ。…あ、てか俺そろそろ行くわ」
「あ…病院?朝から…?」
「うん。明日も」
「そっか…」
「じゃあ…またな!なな子」
行かないで…。
私は、隣に”好きな人”の陽ちゃんがいるのに
勝吾が行ってしまうことを、さびしく思った。
あえなくなるわけじゃないのに……。
私は、歩き始めた勝吾の後ろ姿に呼び掛けた。
「――勝吾!」
勝吾は、一瞬ためってから振り返った。
「明日…病院いくから!」
「え…?」
「話…聞きたい。私も話したいことあるし…」
勝吾はすぐに笑顔になって、私に小さく手を振った。
「分かった!…じゃーなっ!」
「うんっ」
勝吾が見えなくなるまで、陽ちゃんも私も無言だった。
この沈黙を破ったのは…。

