なな子side
「…ぅうっ……くっ……ーっ…」
今は、口から漏れる嗚咽を抑えるので必死だった。
…勝吾は、私が病室に入った後、すぐに帰ったみたいだった。
「っ……うっ…ぁうぅ……っ」
とめたくても、次々と頬を伝う、涙。
とめたくても頭の中で繰り返される、勝吾の言葉。
とめたくてもとめたくても…思い出してしまう、冷たい眼をした勝吾の顔。
―――初めてだ。
勝吾のあんな顔を見たのは…―。
いつも口は悪いし、険しい顔をしてることが多い。
でも、少なくとも私といるときは、どちらかというと温厚ですごく穏やかな顔をしていた。

