―――まさか。
「か…笠松陽一クン?」
名前を呼ぶと、あの頃のままの笑顔を私に向けた。
「思い出してくれて嬉しいよ」
やっぱり…まるであの頃のまま時間が止まったみたいだ…。
あの全中の、笠松主将のままだ。
「やっぱおかしいよ…」
「おかしい?」
「…本当に笠松クン…?」
「え?…何言ってるんだよ。赤ヶ瀬さん」
え…?
私は急いでポケットからスマホを取出し、笠松クンに電話をかけた。
「も、もしもし!」
<あ゛?なな子…?んだよ。何か用…?>
「今…目の前に笠松クンがいる…」
<はあ…?>
待って…今電話で話してる相手は、間違いなく笠松クン。
<おまえバカじゃね?…いじめられて、頭おかしくなっちゃった?>
クスクス笑っている声が聞こえてくる。
「でも今―」
目の前にいる方の笠松クンが、私からケータイを奪って話し始めた。

