「赤ヶ瀬…?今……?」
秀一先輩が、不思議そうに尋ねてきた。
「…”笠松クン”って言ったか?」
――気付いた…!
呼び方が、”陽ちゃん”じゃなくなったことに。
「はい。笠松クンですよね?間違ってなんかいませんよ?」
私は、わざと落ち着いたように言った。
先輩たちは、そんな些細な変化まで、気付いちゃうんだね…。
「……」
「……」
「…別れたのか」
シゲハル先輩が静かに言った。
「はい。…でも、驚くことでもないじゃないですかー。先輩方も、浮気のコト知ってたんですから」
そう。先輩たちが、1番最初に佳菜サンと浮気している、って教えてくれた。
「それもそーだな…」
3人は、納得したようだった。
「じゃあさ!赤ヶ瀬」
そして、秀一先輩が目を輝かせながら言った。
「はい…」
「おれと付き合え!」
そう言って右手の親指で自分を指差した。
「…秀一先輩、冗談きついです」
「おれはマジだって!」
「…すいません。彼氏…いるんです」
「えぇぇぇぇ!?」
秀一先輩が、大きな声を出した。
「しぃーーーーーっ」
私は、人差し指を口に当てて言った。
「あ、ごめん。……彼氏できるのはやくね?てか誰」
「峯崎勝吾です」
――ドクン。
名前を言うだけで、こんなにドキドキするんだ…。

