羽菜は、私に「頑張れ」と耳打ちすると、自分の席に着いた。
私も、クラスのほとんどの人に見られながら自分の席に着いた。
前は、私よりも早く来ていた美架も、今日はまだ来ていなかった。
「あのさぁ」
私は、となりの席の伊賀梨(いがなし)くんに話しかけた。
あ。本読んでたから、声かけちゃまずかったかな…。
「……………なんでしょう」
うわっ。しゃべった。
「美架って、休みかな」
「…休みですよ」
……伊賀梨くんって、誰にでも敬語なんだよね…。
なんか、硬い。
――でも。
「あ。その本――」
「―知ってんの」
うわ。いきなりタメ…?
「うん。”ライトノベル”だっけ。」
「そう。面白いよ。…貸そうか?」
「え。あぁ…大丈夫。」
「あ。そう」
……ふぅ。
やっぱ…あんま話したことない人に声かけるんじゃなかった…―。
……疲れる。

