「…っ…」
泣いてちゃだめだ。
泣いたって、余計自分がみじめに思えるだけだ。
――前を、向こう。
私は、パンパンっと両手で顔をはたいた。
そして、深く息を吸い込むと、思い切り息を吐いた。
――空を見上げると、大きくて蒼い空には七色の大きな虹がかかっていた。
「うわっ…綺麗っ…」
私は、急いで鞄からスマホを取り出し、写真を撮った。
カシャッ…
「よしっ。ばっちり」
今度、羽菜とリンリンにみせよーっと。
………。
……この虹、陽ちゃんたちも見てるのかな。
そう考えたら、涙が込み上げてきた。
「……っ…」
涙がこぼれたのと同時に、後ろから声をかけられた。
「ねぇねぇ君1人~?可愛いねーっ。俺とどっか行かねぇ?」
…ドキっ…
ぇえ!?ナンパッ!?
こんなときに…?
……タイミング最悪!
でもなんだろ。この人の声…。
――あの人に似てる…?
ううん!でもあの人はそんな人じゃ…。
「私…急いでるんで…」
私は振り返らずに歩きだした。

