その日、初音は心ここに非ずの状態だった。 あの時。 教室で花子さんと何していたのだろう。 隣でいつも通り水やりをしている元樹に聞く勇気が出てこない。 聞きたい。 けど聞けない。 「どうしたの?」 ジッと見つめすぎて、元樹が尋ねて来た。 「ううん、何でもない。」 首を左右に振って微笑む。 ダメだ。 聞けない。 あの時、放課後、花子さんに呼ばれて何をしていたのかなんて…。