「……待ってます」 名残惜しい気持ちを押し殺し、私は翼さんを見送った。 パタンと、寂しくしまったドアをしばらく見詰め、私も準備を始める。 玄関にはほんのり翼さんの匂いが残っている。 外に出るとつい最近まで鳴いていなかった蝉が騒がしく鳴いている。 ジリジリと日差しが眩しい。