これじゃあ、いくら心臓があっても足りないよ。 「今日ぐらい言いたい事言わせてくれないの?」 まるで私の心を読んだみたいに翼さんが言った。 恥ずかしくなって俯くと、両頬を挟まれて顔を上げさせられる。 絡まる視線が今はどうも落ち着かない。 「お互い、早く自覚しないと駄目だなこれ」 「翼さんが特に自覚して下さい」 「遥こそ」 まだまだ、旅行は始まってばかりだ。