理論と刀と恋の関係。

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「あらあら、かわええお客はんだこと!

今日は何を買いに来たんどすか?

振袖?友禅?最近流行りの更紗なんてどうどすか?

それとも…彼に打掛でも買うてもらいます?」



「ちょっと!何言ってるんですかお妙さん!!」



外に出た私たち。



まずは着物ですよね、と言う沖田さんに連れられて入ったのがここ、呉服屋・麻水。



未来でいう古着屋さんで、男物も女物も、普段着から礼服までなんでも置いてあるらしい。



なぜかは謎だが、沖田さんはここの女主人と仲が良いらしく、目の前で会話が弾む、弾む。



お妙さんと呼ばれた女性は40~50代くらいの人で、その手は日々の家事のせいだろうか、全体的にあかぎれがひどく、カサついていたけれど、顔はとても若々しくて…なんていうか、綺麗に年をとった感じだった。



…かっこいい。



(それにしても、色んな着物があるなあ…)



着物について私は素人同然だ。



昔、本で少し読んだから、色んな種類
の着物があることは知っているし、夏祭りで浴衣を着たから普通に着ることくらいはできる。多分。



(そういえば…ここに来たばかりのとき、沖田さんに着替えを渡されて焦ったわ…。

着物なんて、未来じゃ着ないもの)



夏祭りのときの記憶をひっぱりだして、四苦八苦しながら着替えたことを思い出す。



今じゃすっかり慣れたけれど。



あれこれ考えていると、唐突にぐいっと腕を引っ張られた。



「そう赤くならいでおくない、沖田はん。

冗談どすから。

そないなら、あたしはこの子と着物を選んできます~」



私の両腕をがっちりとロックオンしているのはお妙さんだった。



沖田さんの方をみれば……あれ、沖田さん?



きょろきょろと辺りを見回すと、お店の隅で彼はしゃがみこんでいた。



顔を覆う両手の隙間からちらりと見える横顔は赤い。



いつも人をからかうのが専門の沖田さんをあんなにするなんて…お妙さん、なんて言ったんだろう。



「ささ、遥花ちゃん…どすやろ?

おばちゃんと一緒にお着物選びにいきましょうか」



「は、はい!」



沖田さんに一声かけるべきか迷ったが、私は結局何も言わず、お妙さんと共に店の奥へと進むのだった。