だけど、父が彼女を私たちに初めて会わせた日。
私の心にどれほどの衝撃が走ったかわからない。
「これからも、お母さんが月島さんご家族みんなを見守れるように」
そう言って微笑んでくれた彼女の顔を思い出しながら、裏切られたような気がして悲しかった。
「中谷さん」
そう呼びかけると、病院を出て行こうとしていたあの女がビクリと肩を揺らして振り返った。
私を見つめるあの女の瞳が揺れている。
中谷さん。
それが、父の再婚相手で元は会社の部下で、そして父が倒れたあの日私たちを優しく包んでくれたあの女の旧姓。
不安そうに瞳を揺らすあの女をじっと睨む。
そうして彼女を睨んだまま、小さな声でつぶやいた。
「ありがとう」
ママの星をまた治してくれて。
その言葉は敢えて口にはしなかったけれど、私が口にした言葉の意味は伝わったらしい。
小さく首を振ったあの女が、私を見つめていた涙ぐむ。
そんな彼女の様子に呆れていると、指先で目の淵を拭った彼女がそっと微笑んで病室を出て行った。



