「お母さんの星、少しだけ借りてもいい?」
「え?」
中谷さんはそう言うと、戸惑う私の手から星のキーホルダーをとって弄り始めた。
それからしばらくして、私の手にキーホルダーを戻す。
「それ、私の手持ちのキーホルダーの使い古しだけど……」
中谷さんの手から戻ってきたキーホルダーは、鎖状のチェーンが星のモチーフときちんと繋がって、見た目には壊れたことがわからないほど綺麗に元の状態に治っていた。
「あの……」
「これからも、お母さんが月島さんご家族みんなを見守れるように」
戸惑いながら中谷さんを見つめると、彼女が優しく微笑んだ。
「月島さんもあなたも、辛いときは無理しないで」
中谷さんは微笑みながらそう言うと、私に丁寧に会釈して今度こそ病院を去っていった。
中谷さんがいなくなったあと、手のひらの上でママの星が私を励ますようにキラリと光る。
元通りに治った星のキーホルダーを見つめながら、中谷さんにお礼を言いそびれたことを後悔した。



