「ちょっと、学校でひっかけちゃって……」
「そうなんだ。残念ね」
中谷さんがキーホルダーを見つめて悲しそうに眉尻をさげる。
さっき不安で泣きそうな私と春陽を抱きしめてくれた中谷さんの温もりと優しさはまだなんとなく肌に残っていて。
そのせいか、彼女の表情が壊れたキーホルダーを心から気遣ってくれているように見えた。
中谷さんは父の部下で初めて会う人。
それなのに、なぜか彼女なら話してもいいような気がして、私は余計なことを打ち明けていた。
「これ、ママの星なんです。ママは……私たちの母は三ヶ月前に病気で亡くなったんですけど……でも星になって空から私たちを見守ってくれてるんだって、そう言って父が私たちにこれをくれたんです」
壊れてしまったキーホルダーを、そっと握りしめる。
「そう。すごく大切なものなのね」
中谷さんはとても哀しそうな目をしてつぶやくと、肩にかけていたショルダーバッグをおろしてその中から何かを取り出した。



