病院に着くと、私よりもひと足早く到着していた春陽が病室の前の廊下で泣いていた。
その横には、泣きじゃくる春陽の肩を支えるように抱きかかえて座るパンツスーツ姿の若い女の人。
春陽の学校の先生だろうか。
長い髪を後ろでひとつに束ねたその人の横顔はとても綺麗だった。
「春陽」
私の声を聞いた春陽が、がばっと勢いよく顔をあげる。
私の顔を見た瞬間、既に涙で濡れていた幼い春陽の顔が歪んだ。
「お姉ちゃん!」
立ち上がった春陽が、わっと喚くように私を呼びながら駆け寄ってくる。
「お姉ちゃん、どうしよう。パパが、パパが……」
私の胸に縋り付き、声を震わせて泣く妹。
「うん……」
そんな春陽の肩を抱くと、私は自身の心の動揺を悟られないように頷く。
「ママがいなくなって……パパもいなくなっちゃったらどうしよう……」
「春陽、大丈夫だから」
ママのいない今、姉である私が気丈に振舞わなければと思った。
何の根拠もないのに、ただ言葉だけで春陽を励ます。
でも内心では私も不安で仕方なかった。



