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検査や怪我の治療のためにしばらく入院した私は、目を覚ました日の一週間後に退院が決まった。
入院している間、あの女は毎日のように私のお見舞いにやってきた。
入院中の着替えだとか、暇つぶしに読む本だとか、病室で食べる果物だとか。
そんなものを毎日持って来ては、彼女の存在を無視し続ける私の病室に三十分ほど居座って帰っていく。
私はベッドからほとんど動けないから、その三十分間は居心地が悪くて仕方なかった。
退院の前日、やっぱりいつもと同じようにやって来たあの女が私のベッドの脇に置かれた椅子に座る。
「奏葉ちゃん、明日は祐吾さんと春陽ちゃんも仕事や学校休んで病室に迎えに来るって」
椅子に座るなり、聞いてもいないことを勝手に話し出すあの女。
私はベッドで寝返りを打つと、話しを続ける彼女に背を向けた。
ひたすら無視し続けても、あの女は私に構うのをやめようとしない。
布団に顔を隠してため息をついたとき、ようやく彼女が口を閉ざした。



