私の前に座った蒔田に気付いた佐伯さんが、意味あり気な笑みを浮かべながら私達の方に近づいてくる。
「いらっしゃいませ。男の子を連れてるなんて珍しいね。彼氏?」
蒔田を見ながら、佐伯さんがニヤニヤとしながら彼の注文をとる。
「そんなんじゃありません!高校の同級生ですよ!」
私が慌てて否定すると、佐伯さんはやっぱりニヤニヤと笑みを浮かべながら厨房に注文を伝えるために去っていった。
「ごめんね、委員長」
私が謝ると、蒔田はにっこり笑いながら首を振る。
「いいよ、別に。月島さんの彼氏に見られるなんて光栄だから」
蒔田がよくわからないことを言うので、私は困って眉を寄せた。
だが蒔田はそんな私の表情に気付いているのかいないのか、にこにこと笑いながら財布から何かを取り出した。



