勉強を始めてしばらく経ったとき、時計代わりにテーブルに置いていたスマホが鳴った。
着信の相手を見ると、それは蒔田だった。
「もしもし?」
「もしもし、月島さん?」
電話に出ると、すぐに蒔田の声が返ってくる。
「今月島さんの家の近くを通りかかったんだけど、家にいる?」
「今、ちょっと近所のファミレスに来てて……課題やってた」
すると蒔田は、ファミレスのある場所を詳しく尋ねてきた。
答えると、すぐに蒔田もファミレスまで来ると言う。
電話を切って課題をしながら待っていると、十分ほどで蒔田がやって来た。
「月島さん」
ファミレスに入ってきた蒔田は、私を見つけると笑顔で手を振って近づいてきた。
「どうしたの?」
突然やって来た蒔田を見上げ、首を傾げる。
「ちょっと近くまで来たから、もし月島さんが暇だったら会いたいなぁと思って電話したんだ」
蒔田は爽やかな笑顔でさらりとそう言うと、私の向かいに座った。



