★★★
引越しは、カオルさんの家へ住まわせてもらうことが決まった翌週の日曜日だった。
親父と母さんと一緒に、最低限の荷物だけ持ってカオルさんの家へと車で向かう。
カオルさんの家は、俺の家から車で三十分ほど行ったところだった。
一軒家で、外壁からでも綺麗に手入れされた庭が見える。
花壇には色とりどりの花が咲いていた。
カオルさんが花を手入れしている姿が思い浮かんで、思わず頬に笑みが浮かぶ。
「祐吾さん、ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」
家に入ると、カオルさんとその旦那さん、それから中学生らしき女の子が一人出てきた。
親父がカオルさんの旦那さんに深々と頭を下げる。
「そんな、気になさらないで下さい。うちは親戚なんですから」
祐吾さんと呼ばれたカオルさんの旦那さんは、俺達を見てにこにこと笑った。
祐吾さんは、カオルさんよりも十歳年が上と聞いているが、見た目は若くてそこまで年が離れているようには見えなかった。
せいぜい離れていても五歳ぐらいじゃないかと思ってしまう。
それくらい若々しかった。



