「何の話?」
「またとぼける?」
俺の問いかけに、奏葉が怪訝な顔で小さく首を傾げる。
俺が尋ねていることの意味がわかってるくせに……
「付き合ってんのかって聞いてんだよ。蒔田と!」
俺は掴んでいた奏葉の肩をゆすりながら、苛立って声を荒げた。
「は?何それ?」
苛立つ俺を見上げて、奏葉がバカにするように鼻で笑う。
「あんたの質問と私が夜中に出掛けてたことと、一体何の関係があるのよ」
奏葉は小さく肩をすくめると、俺を見てわざとらしくため息をついた。
ムカつく……
小馬鹿にしたように俺を見上げてくる奏葉を睨む。
「関係あるだろ。付き合ってるから、夜中にこそこそ二人で逢ってたんじゃないのかよ?俺、見たんだからな。お前が蒔田のバイクの後ろに乗ってどこかに行くところ」
「もしかして、あんた私をつけてたの?」
奏葉が軽蔑するような眼差しで俺を見上げる。
俺はその眼差しを跳ね返すように彼女を睨んだ。



