息を潜めて耳を澄ませると、階段が小さく軋む音がする。
そして、静かにドアを開閉する音。
俺は起き上がると、奏葉の部屋と隣り合う壁に耳をくっつけた。
すると今度は、棚を開けるような小さな音が聞こえてきた。
振り返って時間を確かめる。
壁に掛けられた時計の針は、もうすぐ五時を指そうとしている。
もう朝じゃねぇか。
こんな時間になって、奏葉はようやく帰ってきたようだ。
ため息ををついて、再びベッドに横になる。
だが俺が横になっても奏葉はまだ眠らないようで、小さな物音が壁越しに聞こえてきた。
奏葉が戻ってきたことで一瞬だけ治まっていた苛立ちが、またもやもやと湧き上がってくる。
俺は起き上がると、奏葉の部屋の前に立った。
そして苛立った気持ちのまま、ノックもせずに彼女の部屋のドアを開ける。
俺がドアを開けると、ベッドに座ってスマホを弄っていた奏葉が俺を見上げて大きく目を瞠った。
俺はドアを開けて部屋の前に仁王立ちで立つと、驚いた顔をしている奏葉を睨む。



